no.1

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no.1

モヤモヤした気持ちを抱えたまま大人になって、今も俺は、自分自身に絶望していた。 入社して、長らくの片想い。こじらせ相手は、会社の先輩。しかも、既婚者だ。 顔良し、スタイル良し、仕事をバリバリこなす営業のエース佐久俊明。しかも、面倒見がよく、優しいとくれば、恋に落ちない理由なんかない。 左薬指に存在を放つ、永遠の誓いはなるべく見ないように。自分に向けられる笑顔だけを一つ一つ集めて、宝物にする。 勝手に好きになって、勝手に見てるだけ。いいよな、そんくらい。 「相田~、外回り行くぞ。」 想い人に呼ばれ、俺は従順な飼い犬のごとく、オフィスを飛び出した。
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