no.3

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no.3

入社したての配属先で、初めて先輩に出会った時、一目惚れだった。 学生の頃、バスケをずっとやっていたらしく、周りの社員より頭二つ分飛び抜けている先輩は、スタイル抜群で、スーツ姿がやたらと決まって、格好良かった。 仕事も、バリバリこなしては、営業成績は常にトップ。できる男の模範のような人。 仕事をする時の精悍な顔つきとうって代わり、一歩、仕事から離れ、気持ちが緩むと、笑った時の目が垂れて、可愛いくなる。あれは、ずるい。 怒ったり、疲れた表情など見せたことない冷静沈着な先輩は、新卒で入社したばかりの俺の憧れの存在であった。 先輩に認められたくて、がむしゃらに仕事を覚えると、新卒の中でも、とりわけ、俺の評価が高くなり、周りの社員から、「さすが、有名大卒だね」と簡単にまとめられてしまったが、それは、違う。 俺は、カッコいい先輩の背中をひたすらに追っかけていただけ。いつか、隣に並びたくて。。。
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