chapter7

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文化祭が終わり、クラスの皆が教室から出て行くが、私は席を立つ事はしない。 その様子を感じ取ったのか、優希と朝美は心配そうな顔をしていたが、私に話しかける事はなく、教室から出て行った。 一人、二人と教室から人が出て行き、やがて教室には二人だけしかいなくなる。 残された私達を静寂が包み込む。ガラッと椅子がずれる音がして、緊張や不安。負の感情が私を襲う。 「わりーな待たせて。本当は家に帰ってからでも良かったんだけど、なるべく早く伝えたかった」 「うん大丈夫。私も早く聞かせて欲しかった」 緊張はしないと言っていた彼だったのだが、少し照れたような、そんな表情をしている。 「杏に振られてからもう一年以上経ったんだよな。それから京香と付き合った。京香と付き合えば杏の事を忘れられると思った。本当に京香にはわりー事したと思う。京香と一緒に居て楽しかった。それは今でも変わらない」 黙って話を聞いている事しか出来ないが、京香の名前が出る度に、心が苦しくなるほど妹に嫉妬してしまう。
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