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「ちょっと二人ともそろそろ止めにしないかい?少しは周りの迷惑も考えてあげないと」
言われて女子生徒は冷静になったのか、周りから注目を受けている事を理解して下を向いた。
「杏奈!ちょっと一緒に来て!」
「えっ?ちょっと!」
男子生徒と目が合うと彼はバツが悪そうな顔をしていた。そして私は女子生徒に手を引かれて教室を後にする。
私達はトイレに駆け込む。女子生徒は手を離すと顔を赤くして息を切らしていた。
「もう、優希は急過ぎるんだから。一体何があったの?」
彼女の名前は雨音優希。彼女は中学三年の時に転校して来て、すぐに仲良くなり、それからもずっと仲良くしている。
数少ない親友と呼べる子で、高校になってから初めて同じクラスになる事ができた。
「ちょっと聞いてよ杏奈!白田の奴がね…」
優希は男子生徒に対する愚痴や文句を口にし始めた。
私は黙ってうんうんと相槌を打つが、止まる事の無い、愚痴と文句は五分間ぐらい続いた。
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