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私はなんでいつもこんななんだろ。自分への苛立ちからため息を吐く。鏡に映る自分の姿は、かなりひどい表情をしている。こんな顔をしていたら彼じゃなくても心配になるよね。
落ち込んだり後悔はしないと決めたハズなのに。こんな気持ちになってはダメだと自分に言い聞かせトイレを出た。
「大丈夫か?」
トイレを出ると、教室へと続く廊下で陽ちゃんは待っていた。
「うん。大丈夫だよ。それよりどうしたの?」
「いやちょっと心配になったから。本当に何もないのか?」
私を心配してくれる彼の優しさがたまらなく嬉しかった。だから本当の事を言ってしまおう。
「さっきの会話で去年の事を思い出したら、陽ちゃんに申し訳なくて。本当に私って自分勝手だなって思ったらなんだか自分を許せなくて…」
「そうか。だったら許さなくていい。だから変わりに俺が杏の事を許すから」
真っ直ぐに私の目を見つめてくるので、たまらずに目を反らしてしまう。あんな事を言われたら恥ずかしくて目を合わせられない。
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