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「わかったありがとう陽ちゃん。教室に戻ろうか」
先を歩こうとした私の手を陽ちゃんは優しく掴んできた。彼を見ると真剣な顔をして、口を開く。
「今日のベスコンの事だけど、正直あんな晒し者みたいになるのはもう勘弁だと思った。でもよ。杏の為に優勝したいって今は思う。だからもし優勝出来たら…今度は俺の口から言わせてほしい」
私は堪らなく嬉しかった。泣きそうになるのを抑えて、静かに頷いた。
教室へと戻ると皆が私の心配…はしておらずに、二人で何処に行っていたのかと質問をされてしまう。
陽ちゃんには誰も聞かずに私にばかり皆が聞いてくるので、こうゆう時は彼が羨ましく思えた。
軽く質問を流しながら、自分の作業を再開する。彼の近くで作業をしているので嫌でも意識してしまう。
そんな長くも短いドキドキな時間も終わり、本当の意味でのドキドキの時間はやって来た。
「そんなに緊張すんなよ。さっきからソワソワし過ぎだぞ」
「だ、だって。さすがに全校生徒の前に出ると思うと緊張するよ」
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