chapter5

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彼女に寄り添い、肩に触れようとしたが、その手は京香により、振り払われてしまう。 「触らないでよ!」 京香は泣きながら部屋を飛び出してしまった。やっぱり遅かった。全く話し合いなど出来なかった。 しばらく放心状態だった私の元へ、再び彩香が訪れた。しかしその顔はどこか、ばつが悪そうだった。 「杏姉ごめん…ちょっと思い切り過ぎた」 「いや彩香は悪くないよ。すべて後回しにしてた私が悪いんだから」 彼女は本当に申し訳なさそうな顔をしている。彩香が根回しをして、私と京香に話し合いをさせようとしたが、見事失敗に終わった。 「京香が泣きながら私の家に来てめちゃめちゃ怒られた。しかもなぜか家から追い出されたし」 彼女は苦笑いをしながら言っているが、京香にかなり色々な事を言われたに違いない。 「本当に迷惑かけてごめん。私今から話をしてくるよ」 部屋を出ようとするが、すぐに彩香に静止されてしまう。 「いや今はやめた方がいいよ。私が上手く話し合い出来るようにするまで、杏姉はじっと待ってて」 私はわかったと頷いた。本当に彼女には感謝の言葉しか出てこない。
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