20人が本棚に入れています
本棚に追加
何も言わない彼に私は再び訊ねた。
「本当にどうしたの?連絡も無しに来るなんて珍しくない?」
「まあな。京香の事で、杏に言いたい事があってな」
なんとなくわかっていた。それ以外の理由で、連絡も無しに来るなんて事は考えられなかったから。
「京香なんて言ってたの?」
「泣いてたからそんなに話聞けなかったけど、俺と別れてほしいって杏に言われたって」
「わ、私そんな事言ってない!」
私は思わず大きな声になる。動揺していた私に、とりあえず落ち着けと陽ちゃんは言う。
「正直何を言ったかは俺には重要じゃないし、どっちかが嘘を付いてるとか疑いたくもねーよ。杏が京香に何を言いたかったのかは、なんとなくわかるから。ただ俺は姉妹で喧嘩して仲悪くなってほしくねーんだよ。だから…京香を傷つける事はやめてくれ…」
ズルいよ…それじゃあ、もう京香とは話し合いをするなって言ってるのと同じだよ…
覚悟をした時からどっちも傷つくなんてわかっていた…でも…ちゃんと想いも伝えられないで終わりだなんて、あまりにも悲しすぎるよ…
最初のコメントを投稿しよう!