chapter5

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何も言わない彼に私は再び訊ねた。 「本当にどうしたの?連絡も無しに来るなんて珍しくない?」 「まあな。京香の事で、杏に言いたい事があってな」 なんとなくわかっていた。それ以外の理由で、連絡も無しに来るなんて事は考えられなかったから。 「京香なんて言ってたの?」 「泣いてたからそんなに話聞けなかったけど、俺と別れてほしいって杏に言われたって」 「わ、私そんな事言ってない!」 私は思わず大きな声になる。動揺していた私に、とりあえず落ち着けと陽ちゃんは言う。 「正直何を言ったかは俺には重要じゃないし、どっちかが嘘を付いてるとか疑いたくもねーよ。杏が京香に何を言いたかったのかは、なんとなくわかるから。ただ俺は姉妹で喧嘩して仲悪くなってほしくねーんだよ。だから…京香を傷つける事はやめてくれ…」 ズルいよ…それじゃあ、もう京香とは話し合いをするなって言ってるのと同じだよ… 覚悟をした時からどっちも傷つくなんてわかっていた…でも…ちゃんと想いも伝えられないで終わりだなんて、あまりにも悲しすぎるよ…
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