chapter6

2/16
前へ
/115ページ
次へ
季節は夏から、秋へと変わり、近頃の朝晩は寒さが増してきたように感じる。 普段と変わらない日常の中で、唯一変わってしまったのは私と陽ちゃんの心の距離だった。 いや彼は何も変わっていないのかも知れない。ただ私があの日から彼を避けるようになっていた。 それを感じた彼も、だんだんと私に近づかなくなっていった。最初は私を心配した、優希、朝美、彩香の三人も何も語らない私を気遣い、何も聞かなくなっていた。 なんだかみんなが私から離れて行く感覚が、私に孤独感を感じさせる。 通学路を一人で歩いていると、後ろから声をかけられた。振り返ると微笑みながら私におはようと言う、裕太くんだった。 相変わらずのイケメンぶりで、他の生徒からの視線が気になってしまう。 「なんだか最近元気ないね。何かあった?」 「えっ?そうかな?私はいつもと変わらないよ」 裕太くんの前でなるべく元気に振る舞うが、彼にはすべてが筒抜けらしい。 「そんなに無理しなくていいよ。杏ちゃんが言いたくないなら、これ以上は何も聞かないけど。みんなが心配してるからあんまり無理しないで」
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加