chapter6

9/16
前へ
/115ページ
次へ
「私はズルいよね。小さな時から人の気持ちには敏感な方だったの。だから私にはなんとなくわかるんだ。陽ちゃんが私越しに誰を見ているのか…」 京香は立ち上がると部屋を出て行こうとする。呼び止めたのだが、彼女は応じず部屋を出て行ってしまった。追いかけようとすると部屋の外から彼女は言った。 「後はもうお姉ちゃんの好きにしていいよ。そんな顔見ていたら流石にダメだなんて言えなくなるよ」 階段を降りて行く音がした後、部屋のドアが開き、彩香が部屋へと入って来た。 「どう?しっかり言いたい事言えた?まあ私は部屋の外で全部聞いてたんだけどさ」 「言えたけど、なんだか複雑な気持ちになった」 「まあそんなもんでしょ。でもなんだか杏姉ばかりで京香にフェアじゃなかったかも」 彩香は立ち上がると、何故か部屋のクローゼットを開けた。 「どう?こうゆう事なんだけど。じゃあ後は二人に任せる」 開かれたクローゼットの中には焦った顔をした陽ちゃんがいた。彩香に目をやると、彼女は悪い顔をしながら部屋を出て行ってしまった。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加