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「私はズルいよね。小さな時から人の気持ちには敏感な方だったの。だから私にはなんとなくわかるんだ。陽ちゃんが私越しに誰を見ているのか…」
京香は立ち上がると部屋を出て行こうとする。呼び止めたのだが、彼女は応じず部屋を出て行ってしまった。追いかけようとすると部屋の外から彼女は言った。
「後はもうお姉ちゃんの好きにしていいよ。そんな顔見ていたら流石にダメだなんて言えなくなるよ」
階段を降りて行く音がした後、部屋のドアが開き、彩香が部屋へと入って来た。
「どう?しっかり言いたい事言えた?まあ私は部屋の外で全部聞いてたんだけどさ」
「言えたけど、なんだか複雑な気持ちになった」
「まあそんなもんでしょ。でもなんだか杏姉ばかりで京香にフェアじゃなかったかも」
彩香は立ち上がると、何故か部屋のクローゼットを開けた。
「どう?こうゆう事なんだけど。じゃあ後は二人に任せる」
開かれたクローゼットの中には焦った顔をした陽ちゃんがいた。彩香に目をやると、彼女は悪い顔をしながら部屋を出て行ってしまった。
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