chapter6

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陽ちゃんは何も言わずに、私が泣き止むのを待っていてくれた。 「ご、ごめんね。泣くつもりじゃなかったんだけど」 「別にいい。杏が泣き虫なのは昔からだから」 それから私はなんだか気まずくなり、下を向いてしまう。彼も何も言わずに無言の時間が続く。 それから少しして彼は口を開くが、なんだか歯切れが悪かった。 「杏。さっきの言葉の答えは保留にしてくれねーか?俺も俺で色々考えたい」 「それはもちろんだよ。京香の事もあるからね」 その言葉の半分は嘘だった。もちろん京香の事はしっかりと解決しなくてはならない。でも…彼に私の事が好きだと言い返して欲しかった。 結果をすぐに求めてなどはいけない。わかっていた。わかっていた事だったのだが…どこかで期待をしてしまっている自分がいたのだ。 結局は彼が決める事で、その答えは彼にしかわからない。私に出来る事は、彼に気持ちを伝えて、待つ事しか出来ないのだ。
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