chapter7

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文化祭当日の朝、今日は早くから準備があるので、いつもより早い時間から学校に行く準備をしていた。 ふとベスコンの事を考えると、なんだか今から緊張してしまいそうになる。きっと彼は私と同じような事は考えてはいないだろう。 家を出て少し歩くと、見慣れた後ろ姿を見つける。私は彼に追い付くように小走りをした。 「おはよ。ちゃんと起きれたんだね」 「あぁ杏か。ちゃんと時間に行かねーと雨音がうるせーからな」 私は苦笑いしながら、そうだねと頷く。他愛ない話をしていると彼の口からベスコンの話が出る。 「まさか俺が二年も連続で出る事になるとはな」 「私のせいで、なんだかごめんね」 彼が嫌味のつもりで言ったわけではないのはわかっているが、出たくなかったのを出て貰うので、私にも少なからずの罪悪感はある。 「気にすんなよ。別に杏がわりーわけじゃねーだろ。あの雰囲気を作り出したクラスの奴等が悪い」 どんな時でも私は悪くないと彼はいつも私が悪者にならないようにしてくれている。彼の優しさがいつでも私を救ってくれていた。
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