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巡る
社会に出たころにバブルが弾けた。
もう何年も前だ。
ニュースではそれまで、滑稽な社会現象を報道していた。
真ん中に穴の空いたハートのネックレス。それを求めて群がる男性たち。
でも聞けば、時間の許す限り男性と会って、本命にしたい男性か2番手の人とスキーや観光地や高級ホテルでクリスマスを祝う人々を映し出していた。
車もたくさん売れた時代。
だから、その部品を売るために色んな会社が在庫を抱えながらも、その波に乗ろうと四苦八苦していたらしい。
昔の上司は、高卒でガソスタで働いていたらしいけれど、どんな無茶振りなオプションを付けてでもタイヤを安く見えるように売った。
安く見えるように売る。これが大切。
その人曰く、みんな売りたいから性能はその当時どこも同じくらいよかったから、区別を付けたくても差がないらしかった。
でも、「俺」はバンバン売っていたらしい。
オプションをつける。たったそれだけ。
でも、それだけで彼はその当時年収は当時高卒で15万くらいだったのに、年収600万くらいだったから、ものすごく良かったと言っていた。
その人は、他の人が目をつけないような所を見つけるのが上手い人だった。
そうやって出世していった。性格は最悪だったけど。
さあ、ここで気が付きましたか?
当時、高卒で15万。
そして、今大卒で15万しかもらえない職種もあるんですよ。
あれから四半世紀も経つのに。
この一方で、当時以降、無理やり大学に進学した人を奨学金という借金まみれにして未だに結婚もできない人も大勢居たりするという現実。
何を選択すれば正解かはわからないけれど、今を楽しく行きていられるのであれば、学歴なんてかんけいないのかもしれないというのを、また俯瞰して見ている自分もいたりする。
ただ、それでもなんとなく人間らしい生き方は今のほうが多くあるようにも思うのも事実。
生きるというのは、本当に面白くもあり大変でもあるのだ。
その良き悪しき時代に、アッシーやメッシーという言葉があった事を小耳に挟んでいるのではないだろうか。
残念ながら、その恩恵を得られることはなかったが、10年ちょっと前その恩恵を得られた人と一緒に働いていた。
彼女にもたくさん、時間や物やお金を貢いでくれる人が居たらしい。
個人的には、人が動けば経済が廻るから、良いと思っているので、バブルの全てを否定する気はない。
その人は、小さな会社の社長さんの奥さんだったけど、だんだん自社だけではやっていけなくなり、奥様であるその人が働くことになり、やってきた始末だが、当時ご主人は羽振りがよく、「女子大生」だった彼女にたくさんの言葉とプレゼントを用意してくれた一人で、いろいろな結果、惹かれ合って結婚したらしい。
本人が幸せで、惹かれ合ったというのであればいいのだけれど、穿った見方をしてしまう私としては、彼女の言う当時の事と今現実に起こっている毎日とのことが、言い訳に聞こえていた。
彼女は最後にいつも、息子がいてくれるのが幸せの証だと言っていた。
今年、クリスマスが近くなったある日、その次代の代表格の宝飾メーカーのことが話題になっていた。
それと同時に、休学や退学せざるを得ない大学生が今年は多いらしい事も知った。
昔、こぞって買いまくって、渡しまくって、バブルを謳歌した世代の子供たちは、彼らが弾いたもので就職氷河期を作り出してその結果大学の進学率を上げ、大学に行かなければ就職先がないという不文律を作り、それを子供たちからその場所を取り上げるという事になっているのでは・・・と思い至ると、本当に怖いなと思ってしまう。
お金も時代も巡るもの、そして因果も巡るもの。
親世代の色んなツケをこれ以上子世代に回すのは、ちょっと外れたところでみている私にも、可愛そうだな・・・と、子どもがいないから言えるのかもしれない。
クリスマスの声が聞こえる今日を迎える、過去の思い出・・・。
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