異空間バレー部、結成

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異空間バレー部、結成

 二〇一×年――八月某日。  K県立S高校の体育館では男女バレーボール部が練習中である。  強豪校の一角にも数えられ、全国大会にも出場経験がある。ここ数年はあと一歩のところで涙を流す結果が続いているので、夏の暑さ以上にヒートアップした両顧問の声が体育館の内装を剥がす勢いで響き渡る。  コートは二面張られ、それぞれ紅白試合の真っ只中である。 「トースッ! 打てっ!」  試合に出ていない生徒達は声援を送る。試合が中断する度にボールを供給し、滞らないように進行させる。主に一年生の仕事だが中には二年生の姿もある。 「全国はこんなもんじゃないぞお!」 「はいっ!」  男子バレー部の年配の顧問が激を飛ばす。コート内のメンバーは再び陣形を整え、相手チームのサーブで試合が再開される。  サーブレシーブ、セッターのトスが高々と上がる。  女子バレー部の試合でも、セッターがちょうどトスを上げた。  コート二面で同時にトスが上がる。  異変はその時に起きた。
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