0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
異空間バレー部、結成
二〇一×年――八月某日。
K県立S高校の体育館では男女バレーボール部が練習中である。
強豪校の一角にも数えられ、全国大会にも出場経験がある。ここ数年はあと一歩のところで涙を流す結果が続いているので、夏の暑さ以上にヒートアップした両顧問の声が体育館の内装を剥がす勢いで響き渡る。
コートは二面張られ、それぞれ紅白試合の真っ只中である。
「トースッ! 打てっ!」
試合に出ていない生徒達は声援を送る。試合が中断する度にボールを供給し、滞らないように進行させる。主に一年生の仕事だが中には二年生の姿もある。
「全国はこんなもんじゃないぞお!」
「はいっ!」
男子バレー部の年配の顧問が激を飛ばす。コート内のメンバーは再び陣形を整え、相手チームのサーブで試合が再開される。
サーブレシーブ、セッターのトスが高々と上がる。
女子バレー部の試合でも、セッターがちょうどトスを上げた。
コート二面で同時にトスが上がる。
異変はその時に起きた。
最初のコメントを投稿しよう!