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異空間バレー部、解散
「おい砂村! ボケっとするな!」
顧問の怒号を受けて、砂村は辺りを見回す。
ちょうどトスが上がったみたいだが、走り出す位置から動いていない。得点は相手チームに加算されている。
身体は火照っている。
まるで大きな戦いを終えた後のような、深い余韻が身体を駆け巡っているのを感じる。
「――あ、はい。すいません」
首を傾げた砂村は、ちょうど同じチームだった桂を見る。彼も同じように首を傾げていた。相手チームの渋沢、薬丸も同じような表情だ。
――夢、だったのか。
手には何度もスパイクを打った感覚があるし、ロクマタノオロチを倒した光景も未だ色あせず脳内を駆け巡っている。
別コートを見る。
女子バレー部が休憩中だった。草地、宇佐美、佐々木、辻の四人が手を振っている。
四人は手を振り返した。
すぐに試合再開のホイッスルが鳴り響いた。
完
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