#14 事実は小説より奇であるらしい

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「あのう、愛梨さん? 菱沼さんの話によると、私がカメ吉というか、愛梨さんのことを助けたって聞いたんですが」 【そりゃそうよ、亀が人間なんて助けられっこないもの】 「――え!? でもさっき、私のこと助けたって」 【ええ、いったわ。いったけど正確には神様ね】  愛梨さんとコントのようなやりとりを経て、得た情報によると、愛梨さんが亡くなったとき、お迎えにきていた死神らしき若い男に、幼い桜小路さんを残して成仏できないと泣きついたところ。  困った死神が神様に事情を伝え、愛梨さんはすぐに人間に生まれ変わる権利を持っているから、それを放棄すればその願いが叶えられるということで、愛梨さんは二つ返事で放棄することにしたらしい。  そうして、言葉を話せないカメ吉なら問題がないということで、前世の記憶を残したまま転生することが決まり、カメ吉が愛梨さんの代わりに人間に転生したのだという。  その際、人間に生まれ変わる権利を持っていた愛梨さんには、権利を放棄した代わりとして、一つだけ願いが叶えられるという特典をもらっていたらしい。  その特典とやらは、カメ吉の天寿をまっとうしてこの世を去るときに、桜小路さんと話をしようと思って大事にとっておいたらしいが、私が事故に遭ったあの場所に居合わせた愛梨さんが、私を助けるために、突発的に特典を使ってしまったんだそうだ。  
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