第三章 デビュー戦

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「ついにヒットが出ましたね!」  まきが初めて三色ボールペンを黒から赤に切り替える。 「打球方向がセンターだから……8?」 「正解」 「あー、ショートフライ。これは6でフライのマークを数字の上に書くっと……。あ、赤ペンで書いてしまいました!さっきヒットで赤に変えたの忘れてた。上から黒でなぞるっと……」 「それはスコアあるあるだね。私最初のころしょっちゅうやったから、修正ペン持ち歩いてる。三色ボールペン止めて別々のペンにしたこともあったな」 「ベテランですね。私も次からそうしようかな」 「次はセカンドゴロ!ショートにボールを送って二塁はアウト。一塁はセーフか」 「これは大きい当たり!ランナー返ってきますね。ツーベースで先制点!」 「生還したランナーに赤丸を書くのを忘れずに」 「中央のひし形の中ですね。書きましたー」 「ファーストゴロでスリーアウトだ」 「これ気を付けて。ファーストが取ってそのまま一塁踏んだから 3Aね。Aは一塁ベース踏んだってこと。Bが二塁でCが三塁」 「うー、難しいー」  なんだかんだ言いながら、まきはちゃんと書けているんじゃないかな。そう思いながら初回の攻撃を終えてゆいなはスコアを整理する。まきのスコアも添削しておこう。 「復習だけど、スコアって正方形の中央にひし形があって、それを中心に四分割されてるでしょ。右下が本塁から一塁の間で起こったこと。右上が一塁から二塁の間。左上が二塁と三塁。左下が三塁から本塁。打席結果は本塁と一塁の間で起こってるとして、右下に書くんだよね。レフトフライとかショートゴロとか。それでひし形の中には走者の結果が書かれるの。ワンアウト目だったらⅠ、ツーアウト目だったらⅡみたいにね。で、残塁の時はℓを書くと。ホームインした時には丸を書く。だからひし形の中には絶対に何かの記号が入るってことね」 「あ、残塁書くの忘れてた。残塁は今回で言うとツーベース打った四番打者ですね」 「それでイニング終わったらわかりやすいように、右下に二本斜めに線を引くと。ここでイニング終了しましたよのサインね」 「書きました!」 「あとはここまでの球数を計算して、投球数の枠に書く。余裕があればこの回の安打数も書いておくと。まあこんな感じかな」 「ちょっと難しいですけど、覚えると面白そうですね」 「そうでしょ。それに間違っても誰かに提出するわけではないから自分が分かれば良いんだくらいの気楽さで書いてね」 「はい!楽しみながら書きます!」
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