第三章 デビュー戦

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 そして試合は1-2でスワローズの勝利で終わった。 「今日は書きやすいスコアになったね。まとまった試合で」 「そういうものなんですか」 「エラーが多い時とか、乱打戦で点数が入る試合とかあると書くのも大変よ」 「確かに……。今日は珍しいプレーもなく安定してましたね」  ゆいなとまきがスコアの整理に入る。全てのマスを埋めきったスコアシートを、ゆいなが腕を前に目一杯伸ばして眺める。 「なんて美しいスコアなんでしょう……!うん、今回もそれっぽい!」 「私もそれっぽいです!ただ、直したいところがいくつもあります」 「私も試合に入り込んでると書くマス間違えることあるからね」 「日々成長ですね!」 「私はこれを額縁に飾りたいと思うくらいに美しいと思うんだ」 「数式が美しいとかいう人の気持ちがほんの少しわかった気がします……!オフィスのデスクに飾ろうかな」 「それは怒られるんじゃない?」 「小さくコピーするので大丈夫ですよー」  そういう問題ではないのだが楽しそうなので良しとしよう。ゆいなは弟子の成長ぶりに感慨を受けながらスコアブックを閉じた。
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