第四章 乱打戦

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「お疲れ様です!ゆいなさん!」  JR平塚駅で合流したゆいなとまきはバス停に向かって歩き出した。 「平塚球場はゆいなさんも初めてなんですよね。私、方向音痴なのでちゃんと行けるか不安です」 「初めての球場に行く時はファンを見つけるのが一番良いわよ」 「それはどういう…?」 「行ったことのありそうな人の後ろを付いていくのよ。そうすれば迷わずに済むでしょ。それに野球場に行くファンはユニフォーム来てたり、グッズを身に着けてたりするし見つけやすい」 「なるほど。天才ですね…。郷に従え理論」 「初めて札幌ドームに行った時は助かったわ。駅から結構歩くし、出口も迷いそうになって」 「札幌ドームですか!?ゆいなさんって意外とアクティブですよね。仕事してる姿見るとインドアに感じるのに」 「野球のことだけはアクティブかもね……」 「さすがプロですね」 「だからプロではありません」 「もう、謙虚なんですからっ!まずはバス停ですよね。えっと、四番乗り場っと……」  今日は日差しが強い。ニュースではこの夏一番の暑さになるかもしれないと言っていた。まきちゃんは日焼け対策とか大丈夫かな。 「四番乗り場めっちゃ遠いですね。バスロータリーの一番端ですよ」 「そうね、でも乗り場は間違ってなさそう」  そう言いながら前方を指差す。 「あ、ベイスターズユニフォームの人発見!しかも三人いるので間違いないですね」  そのままベイスターズファンに従い、平塚駅から出ている神奈川中央交通バスに乗り込む。ゆいなとまきは後方の席に座り、他の乗客を横目で見ながら発車を待つ。  ここから約7分バスに揺られて平塚球場駅で降りる。……とネットに書いてあった。
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