恋をするには若過ぎた

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「ねぇ、徹平くん!」  そう言って無邪気な笑顔で俺の名前を呼ぶ姿が今でもはっきりと目に浮かぶ。もう何年も前のことなのに俺の脳裏に焼き付いて離れてくれない。  俺の幼馴染で妹みたいな存在だった里歩。  里歩は俺の7歳下だった。俺が高校生の頃、学校から帰れば必ずと言っていいほどランドセルを背負った里歩がいた。 「徹平くん! おかえり!」 「里歩、今日もいたのか」 「徹平くんが帰ってくるの待ってたんだよ」  家のリビングで宿題を広げながら俺を見てにっこりと笑う。 「ねぇ、宿題教えて!」 「はいはい」 「徹平くん、好き! 大好き!」  顔を合わせればいつもそう言って俺にくっついてきた。 「私、大人になったら徹平くんと結婚するんだ!」  そんなことを毎日言っていた。さすがに当時小学生の女の子に言われて本気にしていなかった俺はありがとうとか嬉しいとか適当に答えていた。いつしかそれが当たり前になっていて、俺は何も思わなくなってしまった。  この時の俺は全然里歩のこと見ていなかった。分かっていなかった。 「ねぇ、徹平くん」 「何?」 「私が大人になったら徹平くんは私と結婚してくれる?」
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