2021年1月29日

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2021年1月29日

 今日も私はバイトだ。バイト内容はカラオケ店の従業員だ。接客は楽しく、忙しいがやり甲斐を感じている。本来は休日だったのだが、本来の出勤者が体調を崩し代わりに出ていた。休日になると何かにつけて誰かしらから"シフトを代わって貰えないか?"と言う連絡にも嫌気がさしてきた程だ。  店に到着すると見覚えのある車がすぐに目に留まった。赤く目立つ車に覚えやすいナンバー。間違いなくAの車だった。 "何でわざわざ俺のいる店に?"と思いつつバイトINした。程なくしてAに接客する事になるとは思わなかった。  フロントの内線が鳴る。 私「はい、フロントでございます」 ?「あ、すいません。ポテトを頼んでいるんですが、まだ来ないのですが…」 私「少々お待ち下さい、只今お持ちします」 電話を切った。どこか聞き覚えのある声。 内線がかかってきたルームの受付表を確認する。そこにはやはり、Aの名が記されていた。仕事は仕事なのでフライドポテトを揚げ、ルームに提供に行った。ノックして部屋に入る。Aは熱唱して気づいていなかったが、横に座っていたAの妹は気づいて驚いた顔をしていた。 私「失礼します。遅くなり大変申し訳ありません、こちらがポテトになります」 テーブルにポテトを置き、Aの方を見つめる。"いつ気づくのだろう"と思いつつ見ていると、ようやく気づいて驚いた顔をする。 A「あれ!?今日バイトなの!?」 私「他のやつの代わりにね。ごゆっくりどーぞ」 私は部屋を後にした。久々に見たAは少しやつれている様に見えた。今日は満室で忙しい、私は直ぐに仕事に戻った。 すると数十分後。 A「妹ー!妹!助けてー!ドア開けて!」 何か廊下で騒ぐ声が聞こえる。Aのルームは厨房を出て目の前だった事もあり、声は丸聞こえ。恥ずかしくなり様子を見に行く。 ドリンクバー用のコップを3つも持ちドアを開けられないAが困り果てていた。何故そもそも3つもいっぺんに持ってきたのか…。さりげなくドアを開けてあげた。 私「ほら、入んな。」 A「あ、ありがと…。」 私はまたすぐ仕事へ戻った。 そしてまた時間が経ち、内線が鳴る。Aのいる部屋からだった。 私「はい、フロントでございます」 A「あ、すいません。軟骨をお願いします」 私「はい、かしこまりました。少々お待ち下さい」 軟骨をフライヤーで揚げていると、他の従業員が"提供には行くからえいちゃんはスタンバイをお願い"と言われた。 ※スタンバイとは、お客が使用し、退出後のルーム清掃の事。 その時にスタンバイした件数は2部屋だった。スタンバイを終えて厨房に戻るとフライヤー内に軟骨が入りっぱなしで従業員は居なかった。挙げてみると、軟骨は揚がりすぎていて少々焦げていた。そこに従業員が戻ってきた。 従業員「あーごめん、焦げちゃったか。フロントで呼ばれちゃってさ。揚げ直して」 私「これの提供先、知り合いなので食べられそうか聞いてみてからにしますよ。食材ロスは可能なら防ぎたいですしね」 と言い提供に行った。 私「もし焦げてて食えなそうなら言って。作り直すから」 A「わかった!」 そして厨房に戻り他のルームのパフェを作っていると、 A「えいちゃん焦げてた!」 と厨房に顔を覗かせ軽く叫んできた。俺以外の従業員だったらどーするのだろうか。 パフェと同時進行で軟骨を揚げ始め、パフェを作り終え提供後、丁度よく軟骨も揚がった。今度は色合いも良く焦げていない。私が提供に行った。  時間が経ち、私はスタンバイに行く。厨房を出ると丁度出てきたAと目があった。 私「…」 A「…」 見つめ合い、沈黙が流れる。だが私はそんな事をしている暇はない。清掃ルームに向かって歩き出す。するとAも後ろをついてくる。部屋に入り清掃を始めると、Aが口を開いた。 A「僕がストーカーしてるみたいじゃんか!」 と言い放ち、ドリンクバーコーナーへ去っていった。仕方ないだろう、同じ方向に用があるのだから…。ドリンクを注ぎ、戻ってきたAが清掃ルーム前で立ち止まり話しかけてきた。 A「やっぱり君はそーゆー制服姿似合うね!」 私「そう?」 A「うん!何かカッコいい!」 私「ありがと」 Aの顔を見ると嬉しそうにニコニコして体はルンルンと弾むように動いていた。 私「なに、俺に久々に会えて話せて嬉しいの?」 A「うーん、わからない!内緒!」 そう言うと部屋へ戻っていった。素直じゃないヤツだ。いつも私に図星を突かれて嘘をつくのだ。  またまた時間が経ち、スタンバイに行く。清掃をしていると、またAが通りかかった。 A「あ、またえいちゃんだ!」 私「また来たのか、歌わないの?」 A「うん、少し休憩~。昨日ね、煉獄さんに会いに行ったんだけどね?映画上映スケジュールを1日前の見てたらしく、時間を間違えちゃって20分遅れちゃったからポップコーンだけ買って帰って来たんだ…」 私「そうだったんだ、それは災難だったね」 A「うん、違う映画が公開になってスケジュールがズレたんだよね」 私「そーなんだー。てか何回見に行く気だよ」 A「さぁ?(笑)じゃあお仕事がんばー!」 私「おう」 Aは戻っていき、私も清掃を終え厨房へ戻った。  バイト終わりの時間、LINEを見るとAからLINEが来ていた。 A「今日本当は会えてお話できて嬉しかった!会うと、改めて好きなんだなぁと思った。言ってる事とやってる事とか色々矛盾してるよね、ごめんね。」 私は返信をした。 私「そうだったのね。でも、"恋人として好き"なんじゃなくて"人として好き"なだけでしょ?」 返信は割りと早めに来た。 A「いや、ぎゅって抱き締めたくなる方の好きだよ。」 一体どれだけの"好き"が存在するんですか?とも思ったが返信を続ける。 私「なら俺を本気で愛してよ。」 A「でも、それは叶わないし望まないよ」 私「叶わないんじゃなくて、叶えようとしてないだけだよ。A次第で何とでもなるでしょ。本気で考えて動かないから曖昧で終わるんじゃないの?」 いつもこーやって当たってしまう。 私自身も結局どうしたいのだろう。この女性に愛して貰いたいのか、諦めるのか。いや、諦める他無いのだ。私がずっと好きで居ようと、Aはそうとは思わず、叶わない恋なのだから。私が諦めるしかないのだ。 でもやはり、気になる女性なのだ。何故か放っておけない。  きっと私は、今後もずっと後悔をし続けるのだろう。 そんな些細な日の日記でした。
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