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今日も屋敷の夢を見る。
私は屋敷を彷徨い歩く。
部屋と部屋とを扉がつなぐ。
つなぐ相手を間違えたのか、たまに知らない部屋にたどりつく。
気だるい昼下がりの光が垂れている。
机と椅子と、燭台と花瓶と、いくつかの風景画……見覚えがないのにどこか涙ぐむほど懐かしい景色の……。
目覚めたときにはどんな風景が描かれていたのか、私はひとかけらも覚えていない。
それでも飽きることなく凝視する。
目玉がとろりとこぼれ落ちて、拾う。
私、わたし帰りたいのかしら。
どこに。
『くえすちょんまーくはいらないよ』
『これは質問じゃないんだから』
体が溶けてくずおれる。
液体が残る。
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