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「いいえ。何かお役に立ちましたなら幸いにございます。それより、お食事がすっかり冷めてしまいましたよ。」
「うん、すっごく!食べちゃうね。」
食べながら話していたため、止まってしまっていた端を動かす。
黙々と食べ進める横で詠龍彦さんがお茶を入れてくれた。
「しっかしさぁ〜。」
食べ終わってお茶を頂きながら口を開く。
「前も思ったんだけど、ここに来てから本当に日々、目まぐるしく色々あるな〜って。」
そう言えば詠龍彦さんの顔が曇り、口を開きかけたのを見て慌てた。
「あっ、違うからね?責めてるわけじゃないから!詠龍彦さんが責任感じる必要なんかないんだか………ら………。」
言ってて理解した。
今日の親友の気持ちを……。
「奥方樣?」
言いながら勢いが消えていった私の顔を覗き込み呼びかけられた。
「え、あぁ、うん。何でもない。そっかぁ。」
何でもない、と笑顔で答え視線をお茶に落とす。
「ふふふ。今日の奥方樣は秘密主義にございますね。」
詠龍彦さんの孫を見守るような優しい声色に視線を戻した。
「うん、まだ自分でもまとまってないっていうか、何て言うか……。まとまったらその時は聞いてくれる?」
「もちろんですとも。ぜひお聞かせ下さいませ。」
「うん、ありがとう。」
それからお風呂の支度をして貰い、露天風呂を堪能すべく大浴場へと向かった。
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