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翌朝。
ピンポーン。
例に漏れず寝起きの悪い私が慌ただしく準備をしていると来客を知らせる音が鳴った。
「あ!来たわね!」
走り回る私とは対称的に優雅にお茶を飲んでいた水美さんが小走りでドアを開けると智慧さんが立っていた。
「いらっしゃーい!入って!」
「長、奥方様、この度、お二方の新婚旅行に随伴させて頂きます。何卒、宜しくお願い致します。」
部屋に一歩足を踏み入れるなり、智慧さんは堅ーい挨拶をしてきた。
「もう!智慧さんったら!そんなに畏まらなくていいのよ?ね?朝輝。」
「…ああ。無礼講で構いませんよ、智慧さん。」
長を離れた朝輝は年上の智慧さんに敬語で話していた。
「それより、ちょっとだけ出発待ってね、夕凪ちゃんがアレだから…。」
話を聞きながらもバタバタと走り回る私を指差して水美さんは呆れたため息をついた。
「ごめんなさいっ智慧さん!もうすぐ終わりますからっ!」
挨拶もせず叫びながら智慧さんの前を通り過ぎる。
「ゆっくりで構いませんよ、奥方様。」
智慧さんの返事を背中に受けながら寝室へと入っていった。
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