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ラベンダー園から少し進むと分かれ道に来た。
上は山頂、下はグラスハウスと書いている。
グラスハウスの文字に組んだ腕の気恥ずかしさも一気に吹っ飛んだ。
グラスハウスの前の階段からガラスドームの建物が目に飛び込む。
キラキラと春の光を反射させるそのガラス屋根はとてもキレイだった。
グラスハウスは温室になっているらしく、熱帯植物が植えられていて、イタリアから寄贈されたらしい愛の像とハートの壁面花壇が出迎えてくれた。
グラスハウスとこれまた素敵なガラス張りのカフェの間からテラスに抜けるとお待ちかねのハーブの足湯があった。
「ねっ、入ろう!」
私は逸る気持ちを押さえきれず朝輝の腕を引いた。
「…そんなに急がなくっても足湯は逃げねーよ。」
そう言いながらも朝輝は歩調を早めてくれる。
お湯に足をつけるとハーブのスッとする香りとじわっとする温かさに癒やされる。
「夕凪ちゃん、足湯はいいけど裸足で歩き回るつもりー?」
少し離れて付いてきていた水美さんたちが追い付いて足湯に浸かる私たちに声をかけてきた。
「あ……。考えてなかった。」
足湯に浸かることばかりを考えてて足を拭くタオルのことは考えてなかった。
自然乾燥とも思ったけど、春とはいえ山の気温は平地より低い。
すぐに足が冷えてしまうだろう。
「大丈夫ですよ奥様。タオルならここに。水美さん少し意地悪ですよ。」
どうしようと考えていると、智慧さんがバッグからタオルを出して、水美さんをやんわり嗜めた。
「夕凪ちゃんを揶揄うのも私の楽しみなのっ!私たちも入りましょう!」
水美さんはポイポイと靴と靴下を脱ぐと私の隣に座った。
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