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「それが植物のエネルギーです。
この地球上のものは全てエネルギーを発しています。
動植物はもちろん、風、水、太陽、その辺の石も全て、それぞれのエネルギーを持っているんです。
一族はそのエネルギーを借りてお客様のお悩みごとのお手伝いしているんです。
何も霊的な力だけではないんですよ。自然に感謝し、そこかしこに宿る八百万の神々のエネルギーを感じ取り扱う、それが私たち一族なのです。」
智慧さんの話はエディブルフラワーから広がり、一族の在り方にまで及んだ。
「…智慧さん、それくらいに。メインが来ます。」
壮大な話に返す言葉を失くしていると、朝輝が話を止めた。
「失礼しました。前菜がまだでしたね。申し訳ありません。頂きましょう。」
智慧さんが朝輝に頭を下げるとメインディッシュが運ばれてきた。
私の前には豚肉のボリートなんちゃらという長い名前の料理が置かれた。
白いソースを纏った豚肉の周りに野菜やハーブ、エディブルフラワーが散らされている。
みんなのお皿を覗けば、朝輝は厚切りのローストビーフみたいなものに野菜とエディブルフラワーが添えられたもの、水美さんはハーブと白いコロンとした何か、智慧さんは私のに似た感じのものだった。
「ねぇ、みんなは何を頼んだの?」
見た目と長い聞き慣れない名前じゃ何かわからず、聞いてみることにした。
「…俺は鴨のローストバルサミコソース菜園をイメージして、だな。」
「私はポルペッティーニと数種のきのこクリームソースよ。」
「私は鶏もも肉のロースト マッシュルームのクリームソースです。」
え、なんで一回でそんなスラスラ覚えられるの?という疑問が最初に浮かんだけど、口に出せばヤブヘビだと言葉を飲んだ。
「朝輝と智慧さんのは何となくわかったけど、水美さんのは何なの?」
「ポルペッティーニ。イタリア風肉団子よ。」
そう言われて、だからコロコロしてるんだとその正体に納得する。
「さっ、冷めない内に食べましょ!」
水美さんの合図で私たちはフォークとナイフを手にようやく食事を始めた。
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