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食事を終えた私たちはレストランの奥に続く、ローズシンフォニーガーデン、森のホール香りの資料館へと足を延ばした。
咲き誇るバラの濃厚な香りに包まれるローズシンフォニーガーデンは幸せな気持ちにしてくれる。
香りの資料館では “ 至高の香り探し ” という天然エッセンシャルオイルの香り比べを楽しんで、山頂駅まで戻ってくるとハーバルマーケットに立ち寄った。
そこで智慧さんはオリジナルブレンドハーブティーを全種類、購入していた。
ハーバルマーケットを出るとそのまま山頂駅からロープウェイに乗りハーブ園を後にする。
行きは街を背に乗っていたけど、帰りは街を見下せる方に座らせてくれ、神戸の景色と眼科に広がるハーブ園の景色を存分に楽しめた。
車に戻り、いざ有馬温泉!と車を走らせる車中。
そんなにここのハーブティーがお気に入りなのかと智慧さんに尋ねてみた。
「ハーブや薬草は私の専門ですから。その時期その時期で味、香り、波動がどう異なるのか研究しているんですよ。」
「半分は智慧さんの趣味みたいなもんよ!」
と水美さんの補足付きで返ってきた。
「あれ?薬草って巫女さんじゃなかったっけ?」
以前、私の調合した薬湯が飲めないのかと凄んでいた巫女さんを思い出した。
「…ああ、巫女も調合できるが専門は智慧さんなんだよ。」
「智慧さんね、巫女に一族の山で薬草を教えて貰ってる内にハマっちゃってねー。
実物をよく観察することって野山を駆け回った江戸のくすりハンターって呼ばれる小野蘭山っていう本草学者に惚れ込んで、彼の本を片っ端から読み漁ったのよ。
その内、西洋のハーブにまで興味持って、その道のプロになっちゃったのよ!」
水美さんが教えてくれた智慧さんの本気度にそこまで打ち込める何かに出会えたことを羨ましく思った。
「なんか、みんなすごいなー。私は朝輝に出会ってなかったら、きっと今も何にもやりたいこと見つかってなかったと思うし…。今も打ち込めるものって言えるのかどうかもわかんないし。
ちょっと羨ましいなって。」
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