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「それにね、この有馬は六芒星ととても縁が強いところなの。
3日目に行く神社は覚えてる?
あ、ちょっと待ってね。」
水美さんは立ち上がると部屋の隅の棚へと向かった。
戻ってきた水美さんはテーブルにノートとペンを置いた。
そのノートの表紙には勾玉が2つと玉響の文字があった。
「ん?勾玉?」
疑問を何となく口にしていた。
「…ああ、玉響とは勾玉同士が触れ合ってたてる微かな音のことだ。それが転じて、“ほんのしばらくの間”や“一瞬”、あるいは“かすか”を意味するようになったんだ。
だから勾玉を2つ大極図のように並べたデザインにしている。」
表紙と部屋の名前の意味を朝輝が説明してくれた。
「それでさっきの続きだけど、明後日行く3つの神社の名前は?夕凪ちゃん。」
ノートを開いてペンを持った水美さんに神社の名前を聞かれた。
「神社の名前?えーっと、確か……有馬天神社と、すい…すい…水天宮!それから、銭湯神社…じゃなくて、温泉神社でもなくて、あー、えーっと、何だっけ?………銭…湯……湯…銭…あっ!湯泉神社だっ!」
何とか答えられ、我ながらよく思い出したと褒めてやりたい。
「正解!よく覚えてたわねー?
そう。湯泉神社、水天宮、有馬天神社っと。この三社を結ぶと三角形が出来るの。
有馬温泉パワースポットトライアングルって言ってね、この三社を巡ることによって、罪、穢れを祓い、徳を得て心身の清浄と健やかな日々を送るご加護を授かることが出来ると言われてるわ。
そしてここに、3つの泉源、御所泉源、有明泉源、炭酸泉源を描き足すっと。
どう?わかった?」
水美さんがノートに三社とそれを結ぶ三角形、それから泉源の点を描いた。
「あ、六芒星!」
「そう、3つの泉源を結ぶとこの有馬の土地に六芒星が浮かぶの。
朝輝が夕凪ちゃんにあげたガネーシュヒマール産の水晶のペンダントトップも六芒星だったでしょ?
私たち一族とも六芒星は縁が強いのよ。」
水美さんからノートを受け取ってまじまじと見つめた。
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