妖(あやかし)

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 クラスメイトの名雪彩加(なゆきさいか)。高校二年生。  一言でいうなら、ちょっと珍しい女の子。なぜかというと、見た目は今風で派手で、香水の匂いをぷんぷんさせているくせに、妙に掃除好きというか綺麗好きなところがあるからだ。先生に指示されるでもなく、教室のゴミは彼女が処理しているし、美化委員も引き受けている。  どちらかというと目立たない僕にとって、彩加のような人種は住むコミュニティの異なる存在なのだけど、その掃除好きという特殊さにささやかな興味を持っていた。  特殊であることは即ち、その裏に相応の理由が隠されていると、僕は経験上考えているから――。  そんな彼女――彩加の瞳の中に、僕はある日、(あやかし)の影を見つけることになるのだ――。
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