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「あ、ここ見てもいい?」
ミカが立ち寄ったのはパワーストーンの店。いろんな色やかたちをした石がぎゅっと詰め込まれた、宝石箱みたいにきらきらした店だった。種類が多すぎて、ひとつひとつ見ていたら目が回ってしまうんじゃないかと思うほどだ。
ドレッドヘアの女性店員が「よかったらどうぞぉ」と、やけに粘っこい口調で話し掛けてきて、石の名前や色、効能が書かれたリーフレットを二人に手渡した。色も大きさもさまざまな天然石のブレスレットを右手に三本、左手には五本、そして首元には大きな青い石がぶら下がったペンダントを身に着けている。動くたびに石どうしがぶつかって、がちゃがちゃと音がした。
「ブレスレットなんかいいかも」
ミカは楽しそうにひとつひとつ手に取っては、照明にかざしている。透過した光が、ミカの瞳に微かな彩りを宿した。
ミカに相応しい色は――やっぱりピンク。ナオは、小さな文字がぎっしりと詰め込まれたリーフレットに目を走らせた。
インカローズ、チェリークォーツ、チューライト、モルガナイト、ローズクォーツ、ロゾライト。
その名前の石を探して、狭い店内をぐるぐると歩き回る。
そして、見つけた。
空中にほどけて消えてしまいそうなその色は、ナオがいつもうっとりとしてしまうミカの言葉の色。色もかたちも丸く柔らかく見えるのに、触れると硬くてひやりと冷たい。淡いピンクを連ねて作られたブレスレットは、まるでミカの言葉を神様がかたちにしてくれたみたいだった。
「ローズクォーツ?」
ぶら下がった値札に、癖のある文字でこれまた小さく書き込まれた石の名を、ミカが読み上げた。
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