episod 3

1/1
41人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

episod 3

夜にはまたレストランに連れてきてもらった。 誕生日の時とは違い、今度はイタリアンのお店だ。 ここでも綺麗な夜景が見える。 アンティパストからドルチェまでを食べ終え、食後のコーヒーをゆっくり飲む。 「美味しかった・・・」 そう言って理人と顔を合わせ微笑む。 家に着くと理人はワインとグラスを出してきた。 今日は車で出かけたため、お店ではお酒を飲んでいなかった。 二つのグラスにワインを注ぎ、小さく乾杯をして口をつける。 龍也でも飲みやすいように甘口のロゼワイン。 飲みやすいけれど度数が高いので少しずつ飲む。 「龍也」 グラス半分飲んだところで、理人に見つめられる。 「俺と結婚してくれて、本当にありがとう」 お礼を言うのはこちらの方だ。 出会った時から優しくしてくれて、本当に幸せに思っている。 「ここまでしていいのか、すごく迷った。でも、龍也を手放したくなかったから」 いつもは思い出すことはあまりないけれど、理人は龍也の父親なのだ。 そのことが全く気にならないかと問われると、複雑だ。 でも龍也にとって理人は、心から愛する恋人で、今は夫だ。 「俺の方こそ。理人さんと結婚出来て、本当に嬉しい。ありがとうござます」 どうやっても、親子である事実は変えられない。 でも、二人で決めたことだから。 誰も傷つけない、悲しまないならこのままの関係で、と。 深く口付け頬を撫でられると、そのままゆっくりソファに押し倒された。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!