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episod 3
夜にはまたレストランに連れてきてもらった。
誕生日の時とは違い、今度はイタリアンのお店だ。
ここでも綺麗な夜景が見える。
アンティパストからドルチェまでを食べ終え、食後のコーヒーをゆっくり飲む。
「美味しかった・・・」
そう言って理人と顔を合わせ微笑む。
家に着くと理人はワインとグラスを出してきた。
今日は車で出かけたため、お店ではお酒を飲んでいなかった。
二つのグラスにワインを注ぎ、小さく乾杯をして口をつける。
龍也でも飲みやすいように甘口のロゼワイン。
飲みやすいけれど度数が高いので少しずつ飲む。
「龍也」
グラス半分飲んだところで、理人に見つめられる。
「俺と結婚してくれて、本当にありがとう」
お礼を言うのはこちらの方だ。
出会った時から優しくしてくれて、本当に幸せに思っている。
「ここまでしていいのか、すごく迷った。でも、龍也を手放したくなかったから」
いつもは思い出すことはあまりないけれど、理人は龍也の父親なのだ。
そのことが全く気にならないかと問われると、複雑だ。
でも龍也にとって理人は、心から愛する恋人で、今は夫だ。
「俺の方こそ。理人さんと結婚出来て、本当に嬉しい。ありがとうござます」
どうやっても、親子である事実は変えられない。
でも、二人で決めたことだから。
誰も傷つけない、悲しまないならこのままの関係で、と。
深く口付け頬を撫でられると、そのままゆっくりソファに押し倒された。
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