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河野ちゃんが、想定外の攻撃に飲んでいたカシスウーロンを吹き出した。
「いやいやいや、ふざけたんじゃないです。違います、違います」
手と首をブンブン振って否定する河野ちゃん。そんなに、動いたら酔いが回っちゃうんじゃないか。
「どうせ私はペチャパイですよ〜」
中村さんが胸を隠す素振りをしながら、頬を膨らます。
「も〜、小林先生がそんなこと言うから怒られた〜」
「ふふふ。だ〜って、私も胸小さいから、私が手術受ける時もそう言って笑うんでしょ」
女性陣はそんな話をしながらも、楽しそうだ。中村さんも今のところ、胸に対してコンプレックスを抱えている様子は見当たらない。僕と浅村先生は顔を見合わせて、意図的にコメントを避けて、流れ弾に当たらないように身構えようと、アイコンタクトをしていた。
「そういえば、清水先生は左利きなのですか?」
左手で箸を持ち、キスの天ぷらを摘んでいる僕を見て浅村先生が訊いてきた。
「えっ、あ、うん」
「今回の手術では右手にメスを持っていましたが、以前、左手にメスを持っていた手術があったと聞いたもので」
あー、その話かぁ。
そう、確かに以前、セサクの能力を初めて知った手術の時に、僕は左手にメスを持っていた。
「それって、あの時の」
小林先生と中村さんが顔を見合わせる。
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