彼らとの出会い

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僕の右手に住む5人の仲間は、一度活動をすると、活動時間に関わらず二十四時間は寝てしまう。あの時は、緊急手術で彼らが起きる前に手術を始めないといけなくて、仕方なく左手にメスを持ったんだ。 「普通、手術の時の立ち位置が変わらないといけなくなるので、左利きの人もメスは右手に持つようになりますよね。普通の立ち位置で左手にメスを持って手術はやりづらいんじゃないかと思ったんですが、何か理由があるんですか?」 「あ〜、うん。それは」 僕が返答に困っていると、浅村先生が言葉を続けた。 「それは、中村さんのがんが少し小さくなっていた事や、手術中に清水先生の手元で何かがキラキラしていたのと関係があるのですか?」 「えっ、がんが小さく?」 その時、中村さんが何かを思い出したように、声を上げた。 「清水先生、ほら、手術前にわたしの肩に右手を置いた時に」 そう言われて、僕も思い出した。ボイスが急に、右手を中村さんの左肩に置いてくれって頼んだんだった。あの時、ボイスが中村さんの組織に何かをお願いしたんだな。 「えっ、浅村先生もあのキラキラ見えたんですか。あー、やっぱり見間違いじゃなかったんだ〜。もう、清水先生、そろそろ教えて下さいよ〜」 以前にも同じような話で詰め寄られたよな。でも、浅村先生にも見えているみたいだし、手術の仲間は増やしたいからなぁ。
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