彼らとの出会い

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南にある九州と言えども、十二月はやはり寒い。地元のおばあちゃんたちが、小さな灯油ストーブを囲み、井戸端会議ならぬストーブ端会議に花を咲かせている。 「あったかそうだなぁ」 そう思いながら、コートにしまっておいた青いコットンの手袋を手にした。右手に手袋をした時に、ガシャンという音とともに女性の悲鳴が聞こえてきた。 音のした方を見ると、先程のストーブが倒れ、一人のおばあちゃんの背中に火が燃え移っていた。 大変だ 僕は倒れたストーブの方に走り出した。 「大丈夫ですか。今すぐ消しますからね」 パニックになっているおばあちゃんを安心させるように優しく声を掛けながら、おばあちゃんの背中に燃え移った火を消すために両手で背中の火を払い始めた。その時、僕は完全に忘れていたんだ。 僕の右手には、燃えやすいコットンの手袋がはめられていたことに。 おばあちゃんの背中の火はすぐに鎮火したんだけれど、僕のコットンの手袋にはおばあちゃんの背中にあった火が勢いを増して移り住んでいるような、自分の手が燃えているんだと理解するまでに少し時間を要してしまったんだ。 「今、救急車ば呼んだけんな」 通りがかった男性が、先程背中に火がついていたおばあちゃんと僕に声を掛けてくれる。 ありがたい。これで処置がしてもらえる。と思った矢先に、僕は改めて右手全体を覆っている火が目に入った。 "終わった。この火の感じじゃあ、きっと右手はもう元には戻らないだろうな。医者にはなれない……"
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