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クリスマスの朝が来た。
春夫が出て行く日であり、虎子が来る日だ。
私は、キャリーケースを手に、虎子のもとへ向かった。
どうせ、箱に居るのだろうと思い、声はかけずに、
自動販売機の裏へ回った。
「虎子?虎子?」
箱の中に、虎子がいない。
辺りを見回しても、どこにもいない。
「虎子!嘘だ・・・。とらこぉ!」
本当に、どこにも居ない。
道を挟んだ向かい側にもいない。
しばらく走って探し回ったが、虎子はどこにもいない。
私は、そのまま一旦、家へ戻った。
春夫は、まだ寝ていた。
「春さん、虎子がいないの。」
春夫は飛び起き、立ち上がった。
「いないって、どういうこと?」
「わかんない。とにかく、いないの。」
私は、すっかりパニックに陥った。
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