12/25

1/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ

12/25

 クリスマスの朝が来た。 春夫が出て行く日であり、虎子が来る日だ。 私は、キャリーケースを手に、虎子のもとへ向かった。 どうせ、箱に居るのだろうと思い、声はかけずに、 自動販売機の裏へ回った。 「虎子?虎子?」 箱の中に、虎子がいない。 辺りを見回しても、どこにもいない。 「虎子!嘘だ・・・。とらこぉ!」 本当に、どこにも居ない。 道を挟んだ向かい側にもいない。 しばらく走って探し回ったが、虎子はどこにもいない。 私は、そのまま一旦、家へ戻った。 春夫は、まだ寝ていた。 「春さん、虎子がいないの。」 春夫は飛び起き、立ち上がった。 「いないって、どういうこと?」 「わかんない。とにかく、いないの。」 私は、すっかりパニックに陥った。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!