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 朝、猫の元へ向かう途中、大きな犬を連れた男性とすれ違った。 利口そうな犬ではあったが、リードを着けていない事が気にかかった。 猫が犬に追われていたかもと心配になり、走った。 しかし、猫は、相変わらず自動販売機の陰から姿を見せた。 怯えた様子もない。 「お腹、空いたろう?」 ホッとして、給餌をしていたら、 不意に背後から男の声が飛んできた。 「野良猫に、餌をやってはダメだ!」 ビクッとして、すぐさま振り返ると、先ほどすれ違った男性だった。 年齢は、60代だろうか。犬はやはりノーリードだ。 男性は、今度は静かに諭すように言った。 「野良猫に、餌をやってはいけないよねぇ?」 私は反射的に謝ってしまった。 「すみません。 あっでも、この子は野良猫じゃないんです。 飼い主に置いて行かれちゃった子で」
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