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名前? そういえば、まだ考えていなかった。 保護も出来ないままの猫に、勝手に名前を付ける事に躊躇していたのだ。 私はその時、その場で思い付いた名前を伝えた。 「じゃあ、虎子でお願いします。」  動物病院を後にして、次は虎子に会いに行った。 「虎子、あんた、今から虎子だからね。」 虎子は、それを理解しているのか分からないが、 いつものように、ゴロゴロと喉を鳴らして喜んだ。 しかし、自動販売機の裏には、食べ終わっただろう皿と、 水の入った器が置かれていた。 「先を越されたか。」 虎子は、もう一人の誰かに、夕飯を貰った後だったようだ。 仕方ないので、持ってきたウェットフードを少量出し、 それに薬を混ぜて、その分だけ、虎子に食べてもらった。
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