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「もちろん、行くよ。」
自信にあふれた笑顔で、もちろん行くと言ったんだ。
春夫のこんな笑顔を見たのは、初めてだった。
私と出会った時は、春夫は事業に失敗して、鬱々としていた。
「死んだように生きたい」と漏らした。
私は、そんな春夫を放っておけず、家に迎え入れた。
そのまま10年、春夫は私の家で休憩をしていたんだ。
そう、次のチャンスが訪れるまでの、休憩。
その休憩は、終わる。
「虎子、おはよう。」
こっちは休憩なんてしていられない。
パーテーションは、今日、届く。
それで個室を作ったら、明日のクリスマスの日に、
私は、虎子を家に迎える。
春夫が出て行く明日にだ。
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