12/24

2/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「もちろん、行くよ。」 自信にあふれた笑顔で、もちろん行くと言ったんだ。 春夫のこんな笑顔を見たのは、初めてだった。  私と出会った時は、春夫は事業に失敗して、鬱々としていた。 「死んだように生きたい」と漏らした。 私は、そんな春夫を放っておけず、家に迎え入れた。 そのまま10年、春夫は私の家で休憩をしていたんだ。 そう、次のチャンスが訪れるまでの、休憩。 その休憩は、終わる。 「虎子、おはよう。」 こっちは休憩なんてしていられない。 パーテーションは、今日、届く。 それで個室を作ったら、明日のクリスマスの日に、 私は、虎子を家に迎える。 春夫が出て行く明日にだ。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!