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春夫は、ぼさぼさな髪のまま、急いで上着を羽織った。 「探してみよう。絶対、いるって。」 私は、春夫と共に、再び虎子を探し始めた。 そこへ、一昨日、私を怒鳴った男性が散歩しているのを見かけた。 やはり、犬はノーリードだ。 「猫を見ませんでしたか?」 男性の背後から、突然叫んだ私に男性がビクッとして すぐ振り返った。 まるで、一昨日の復讐劇のようだった。 「猫って?」 「アパートの瓦礫の隅っこにいた、キジトラの猫です。」 「あっ、あぁ。そういえば、最近見ないなぁ。」 最近じゃない、今朝突然、いなくなったんだ。 男性の無責任な答えに苛立ち、私はそう叫びそうになったが、 言葉を飲んで、すぐ立ち去った。
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