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「っふ、やぁああ、っぐ」
大声で泣く寸前だった。
そしたら……。
「何してやがる!!」
龍サンの声が聞こえたような気がした。
でも、そんなわけない。
龍サンはボクを嫌いだから。
もうどこかに行っちゃったから……。
「うぇぇえっ」
龍サン。
「チッ、もう来やがった。折角のお楽しみの所を邪魔してくれちゃって! くそがっ!」
「覚悟しろやっ!」
色んな人の声とドスっていう嫌な音がする。
怒鳴り声と大きな音。
たくさんたくさん聞こえる。
「――っつ!」
ボク、どうなっちゃうの?
怖い、怖いよっ!
両手で頭を押さえた。
丸まって、ただこの怖い時間が過ぎるのをボクは待つ。
そしたら……。
「おい、大丈夫か?」
この声は知ってる。
見上げれば、そこには大好きな龍サンの顔があったんだ。
龍サンには会いたいって思ってた。
助けてとも願った。
だけど今は違う。
迷惑だったなんて知らなくて……。
「っひ……迷惑だって知らなくて。ボク、ごめんなさいっ」
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