① 距離がゼロになった

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 手を繋ぐところから始まった。  髪を撫でられたり、腰や肩に手を置かれ、今では胸に抱き込まれている。  ごく自然に違和感なく、距離がゼロになった。  今では当たり前すぎて疑問にすら思えない。    気が付けば錦の頭は男の腕の下を潜り、胸に収まっている。  男は普段通りの涼しげな顔でアップルタイザーを呷りながら、視線はテレビの画面を向いている。  錦も当たり前のように男に凭れたまま、テレビを眺めた。  ――きっと俺はこの男の事が大好きなのだ。  頭を胸にこすり付けると男が笑った。
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