思いがけぬ再会

9/12
223人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
―いつもなら寝ているはずの時間。私はベッドで寝返りばかり打っていた。 涙の気配は引いたけど、やっぱり眠れずにいたのだ。 無理矢理にでも寝てしまおうと、目をきつく閉じたら、秀一と別れた日のことを思い出した。 「…っふざけないでよ!!」 思わずカッとして、手が勝手に秀一の頬を叩いていた。 パァン!!!! ―このやりとりの前日、夜の10時。 特に何をするでもなく、テレビを見ていると、携帯電話が震えた。 ディスプレイを見ると、電話の画像と共に『着信中 中野秀一』の文字。 用がある時は大抵メールで済ますし、最近は電話をしても一方通行だった。 珍しいなと首を傾げながら通話ボタンを押した。 「…もしもし?」 『あ、俺』 「うん」 『……話があんだけど』 妙に違和感のある間。 「電話じゃダメな感じ?」 『あぁ』
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!