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―いつもなら寝ているはずの時間。私はベッドで寝返りばかり打っていた。
涙の気配は引いたけど、やっぱり眠れずにいたのだ。
無理矢理にでも寝てしまおうと、目をきつく閉じたら、秀一と別れた日のことを思い出した。
「…っふざけないでよ!!」
思わずカッとして、手が勝手に秀一の頬を叩いていた。
パァン!!!!
―このやりとりの前日、夜の10時。
特に何をするでもなく、テレビを見ていると、携帯電話が震えた。
ディスプレイを見ると、電話の画像と共に『着信中 中野秀一』の文字。
用がある時は大抵メールで済ますし、最近は電話をしても一方通行だった。
珍しいなと首を傾げながら通話ボタンを押した。
「…もしもし?」
『あ、俺』
「うん」
『……話があんだけど』
妙に違和感のある間。
「電話じゃダメな感じ?」
『あぁ』
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