商談のお供

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土曜日。 いつもならばゆっくり寝ていられるのに、普段と変わらない時間に起床する。 (あ~…眠い…) あくびをしながら、洗面台に向かった。 ぼーっとした頭で蛇口をひねる。 「ぎゃっ」 何の気なしに手を水流に差し出し、冷たい水に色気のない叫び声が出てしまう。 色気のある叫び声ってどんなのか分からないけど。 いつもなら温水の蛇口をひねるのだが、ぼーっとしていたせいでどうやら冷水の方をひねったらしい。 おかげですっかり目が覚めた。 朝食を済ませた後、ブラウスを手に考える。 (休日だし…私服でいいんだったよね) クローゼットから紺のアーガイル模様のカーディガンと、ツイードのグレーのタイトスカートを取り出し、無難にまとめると、会社に向かった。休日のため、平日のようなざわつき感はない。しんと静まりかえった会社の入り口で、無人の機械に目が止まった。 音声付き自動案内機。この導入に伴い『受付嬢は廃止』となり、私は総務部へ異動となった。
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