商談のお供

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『何事も経験』ってポジティブに考えてたけど、ただ少し―…寂しい感は否めない。 時代の流れと言えばそれまでだが、入社してからずっと受付に配属されていたせいかもしれない。 エレベーターに乗り込んで、オフィスフロアのある階を押す。 到着後、IDチップの内蔵された社員証を出入り口脇のカードリーダーに通すと、フロア内に足を踏み入れた。 (あれ?眞鍋さんまだ来てない…) コートとストールを脱ぎながら、広いフロアを見渡す。 しばらくぼんやりしていると、 「早いな」 背後から声がしたので、はっとして振り返ると、眞鍋さんだった。 「あ、おはようございます」 眞鍋さんの格好を見ると、いつものスーツ姿。 「…休日は、私服でいいんですよ?」 「知ってる。選ぶのが面倒なだけだ」 …まぁ、たしかに。スーツなら間違いないし。 作業は打ち合わせスペースですることになった。机の脇には目の高さほどにまで積み上げられた資料がドンと置いてある。 「…白河建商にはうちへの卸値を従来の1.5倍で話を進めるつもりだ」
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