商談のお供

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「大きくでますね…」 「相手に首を縦に振らせるためには、採算が取れることを納得させる必要がある」 「はい」 「あの常務は何かしら突っ込んで聞いてくる。だからそのことを想定して資料を用意しなければならない」 「…なるほど、それは最低限必要ってことですよね?」 「そう。で、資料の中に裏づけできるヒントがあるはずだからそれを探すのが先決だ」 「分かりました」 しばらくの間、ただ資料をパラパラと捲る音のみが空間に響く。 「…眞鍋さん、質問していいですか?」 「どうぞ」 「白河建商さんって輸出入どっちが多いですか?」 「輸入かな」 「当たり前のこと言ってすみません。輸入貨物って関税かかりますよね」 「あぁ。多かれ少なかれ」 「ですよね」 闇雲に資料を見るだけでは煮詰まってしまい、眞鍋さんの眉間にはシワが刻まれ、右手に持ったボールペンの先をカツカツいわせている。 (気まずすぎる…)
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