商談のお供

17/30
前へ
/128ページ
次へ
「あぁ…小さな木材を接着して作られたものだ。太い梁とか柱だとどうしても口径の大きい木が必要になるだろう?」 「はい」 「その代わりに用いられるのが集成材。木の反りや狂いが出にくくて、強度が安定している。後は割れにくいという利点もある」 「へぇ…」 「まぁ集成材は白河建商の下請けが作ってるから…仕入れ自体は丸太だろうな」 「丸太の状態でも輸入なら安価ですよね?建てるのは施工業者ですけど、実質評価するのって…」 「「エンドユーザー」」 声がピタリと重なった。 「…エンドユーザーの声って仕入れ元に届かないんでしょうか?」 眞鍋さんのパソコンを操る手が止まる。続きを促すように視線を向けられた。 「白河建商さんにとってのエンドユーザーは施工業者ですよね。国有の杉とか檜だと香りは良いけどどうしても高くなるし、海外の木材でも使うってことはバイヤーの目利きがいいから、かななんて思って」 眞鍋さんの手は止まったままだ。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

244人が本棚に入れています
本棚に追加