商談のお供

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部屋に備え付けられたユニットバスではなく、ホテル内の温泉に入って、この二週間の疲れを癒した。 仕事とはいえせっかく来たんだから、入らなければ損だ。 (はぁ、いいお湯だった…) 浴衣に着替え、部屋でくつろいでいるとノックの音が響いた。 「はい?」 「眞鍋です」 ロックを外して、扉を開ける。 「どうしたんですか?」 「…アルコールは平気?」 「あ、はい。人並みに…」 眞鍋さんは手に持っていたビニール袋を前に出した。 「よかったら一緒に飲もう。無事終わったことだし」 私は二つ返事で眞鍋さんを中に招き入れた。 「…では無事に商談が終了したことを祝して…」 「「乾杯」」 缶ビールをコツン、と合わせてぐいっと一口。 大きな仕事の後だから、いつもよりおいしく感じる。 「はー、怒濤の二週間でしたね」 「別に。俺は慣れているから」 「あ、そっか、そうですよね」 それきり会話は途切れてしまい、ビールを流し込む音だけが静かに過ぎていく。
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