商談のお供

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「説明に一生懸命で気づいていなかったかもしれないが、バーコードは舐めるような目で君を見ていた。手元の資料ではなく」 一気に背中に悪寒が走った。 自分が美人だなんて思ってはいないが、バーコードオヤジに好かれるのは嬉しくもなんともない。例え取引先だろうと。 「も…もう、いいです。分かりました…」 首をふるふると振りながら話を打ち切った。 「…俺も」 「はい?」 「俺も、一個聞いてもいい?」 「あ、どうぞ…」 少しの沈黙の後、質問が発せられた。 「池澤さんって恋人いたりする?」 真面目な顔して意外にどストレートな質問だと思った。 「いませんよ」 一旦言葉を切って、少し考えてから言葉を続けた。 「二年前に別れたきりです」 「ふーん…もてそうだからいると思った。もったいない」 これは…口説かれているのだろうか。でも眞鍋さんだし、ただ聞いてみただけ、なんてこともなさそうだ。ということは…そういうこと?しかし少し口角を上げただけの表情からは何も読み取れない。
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