思いがけぬ再会

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しかし、『取りに行ってやってもいい』という上から目線に、少し言い返してやりたくなった。 「スーツなんてたくさん持ってるんじゃないですか?別に急がなくても…」 「あれはオーダーメイドの一点物だ」 なかなか聞き慣れない言葉に目眩がしそうになる。二の句を次げずにいると、 「あれ、唯衣じゃん」 耳に覚えがある、二年ぶりに聞く声。ゆっくり振り返って姿を確認する。 「秀一…」 「ねー、秀ちゃん、誰、この人?行こうよぉ。寒いしぃ」 隣には腕にしがみついて甘えた声を出す女―…。 ふーん、こんなのがタイプなんだ。私と真逆。まぁ、顔は可愛いと思う。話し方は―…計算?ううん、天然っぽい。 「彼氏、できたんだな」 私の隣に立っている篤哉さんを、彼氏と勘違いしたらしい。 …このまま勘違いしてもらった方が好都合だ。不本意ではあるけど。 「うん、そう。付き合い始めたばっかりなの。そっちは?長いの?」 「あー…二年過ぎたくらい」
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