思いがけぬ再会

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「何も聞かないんですね」 「だいたいの察しはつく」 「…笑えばいいじゃないですか」 「……」 「お察しの通り、さっきの…元彼と、…浮気相手です。男奪られてその後二年も彼氏作らないで、いつまでも感傷に浸ってるかわいそうな奴だって、笑えばいいじゃないですか!」 人気のない、しんとしたエントランスに、私の泣き叫ぶ声だけが響く。 「そんなこと言ってないだろ、落ち着けって」 「やだ!あんな女、大嫌い…!あの子に靡いた秀一だって、嫌い…。ケンカ別れして嫌いになって吹っ切れたつもりでいたのに、あんなの見たら心穏やかでいられるわけないじゃないですか!!」 「おいってば」 「嫌いになったはずの人…心のどこかでまだ想ってる!やだ、こんな私…嫉妬心剥き出しで、嫌い…、嫌い…!」 「唯衣!」 大きく、でも諭すように名前を呼ばれて、はっと我に返った。 「分かったから…落ち着け。な?」 そう言って力強く抱き寄せられ、腕の中にスッポリおさまった。
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