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「安心しろ。ハートブレイクした女を襲うつもりはない。それに…」
ちらりと私の胸元に視線が移動する。
「色気のないのを抱いても面白くないしな」
(失礼なっ!)
面白いとか面白くないの問題ではない。発言自体に問題がある。
(…やっぱりイジワルかも)
何気に手を顔に当てると、私は重大なことに気がついた。
(やばい、メイク落とさないと)
「…ちょっと失礼しますっ」
(良かった…ウォータープルーフのマスカラで。ファンデーションはやっぱり落ちてるけど)
メイクを落として、若干赤くなっている目元に苦笑いしつつリビングに戻った。
(…やっぱりまだいるし。本気なのかな。泊まるとか)
「コーヒー淹れますから、飲んだら帰って下さいね。三階分上に行けばお家なんですから…」
そう言ってソファの横をすり抜けようとした時、ぐっと腕を掴まれて、引き寄せられた。
(ち、近いって…顔近い!)
食い入るように見つめられて、瞬きもできない。
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