思いがけぬ再会

6/12
235人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
「安心しろ。ハートブレイクした女を襲うつもりはない。それに…」 ちらりと私の胸元に視線が移動する。 「色気のないのを抱いても面白くないしな」 (失礼なっ!) 面白いとか面白くないの問題ではない。発言自体に問題がある。 (…やっぱりイジワルかも) 何気に手を顔に当てると、私は重大なことに気がついた。 (やばい、メイク落とさないと) 「…ちょっと失礼しますっ」 (良かった…ウォータープルーフのマスカラで。ファンデーションはやっぱり落ちてるけど) メイクを落として、若干赤くなっている目元に苦笑いしつつリビングに戻った。 (…やっぱりまだいるし。本気なのかな。泊まるとか) 「コーヒー淹れますから、飲んだら帰って下さいね。三階分上に行けばお家なんですから…」 そう言ってソファの横をすり抜けようとした時、ぐっと腕を掴まれて、引き寄せられた。 (ち、近いって…顔近い!) 食い入るように見つめられて、瞬きもできない。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!